泡と音で、揚がりを見る

揚げたての天ぷらと、御飯・吸椀・香物を添えた膳

天ぷらを揚げているとき、温度計は使いません。見ているのは、鍋の中の泡の大きさと、聞こえてくる音です。お客様からよく「どうやって揚がり具合を見ているんですか」と聞かれますので、少しお話ししてみます。

衣は、混ぜすぎない

まず衣です。しっかり混ぜたくなるものですが、混ぜすぎると粘りが出て、重い衣になります。粉が少し残っているくらいで止めます。

目指しているのは、さくりと軽い食感です。そのためには、衣の段階で余計なことをしない。ここは意外と大事なところだと思っています。

油の温度は、素材で変える

油の温度も一定ではありません。野菜であれば、160〜165度あたりが目安です。素材が変われば、含んでいる水分の量も、火の通り方も違いますから、それに合わせて温度を動かしていきます。

ただ、温度計を差して測るということはしません。火加減を素材ごとに調整していく、というやり方です。数字はあくまで目安で、実際に判断しているのは次の話になります。

泡が小さくなったら、引き上げどき

ここが本題です。鍋に入れた直後は、泡が大きく、音も激しい。これは素材の中の水分がまだたっぷり残っている状態で、中まで火が通っていません。

揚がってくると、様子が変わります。泡が細かくなり、音も落ち着いてきます。水分が抜けて、代わりに油が入ったサインです。ここを逃さずに引き上げます。

理屈でいえば、水分と油が入れ替わっているだけの話です。ただ、揚げながら頭で計算しているわけではありません。19歳から数えて25年、この音と泡を見続けてきましたので、体のほうが先に反応するようになりました。

素材ごとに、目指す食感が違う

同じように揚げても、素材によって目指すところは変わります。たまねぎは甘みを引き出したい。れんこんはさくりとした部分とほくりとした部分の両方を残したい。春菊は香りを立たせたいので、薄い衣でさっと。

つまり、引き上げるタイミングも素材の数だけあるということです。この判断のために、泡と音を見ています。

鎌倉野菜の揚げ分けについて読む →

だから、揚げたてを

ちょうどよく揚がったものは、時間が経つと変わっていきます。せっかくその一瞬を狙って引き上げているのですから、できるだけ早くお出ししたい。

うちは全19席の小さな店で、カウンターが3席あります。揚げてすぐお出しできる距離で召し上がっていただく、というのがこの店の形です。「油が軽いね」と言っていただけることが多いのは、揚げ方と、この距離のおかげかもしれません。

ネットでのご予約は24時間承っております。4名様までは、空席を確認してその場でご予約が完了します。

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ランチ 11:30-15:00(L.O. 14:30)/ ディナー 17:00-23:00(L.O. 22:30)/ 月曜・火曜定休