店主より
天ぷらと鎌倉野菜 みやび 店主 戸澤
19歳で料理の世界に入り、気がつけば25年になりました。日本料理からはじまって、蕎麦屋、居酒屋、飲食チェーンの調理と店舗管理。ひととおり回ってきて、42歳で自分の店を持ちました。この店でお出ししているものの背景を、少しお話しさせてください。
19歳から、料理の道で
調理師専門学校を卒業して、そのまま東京・向島の日本料理店に入りました。2001年のことです。ここで4年ほど、和食の基礎を体に入れました。
次に移ったのが、都内の蕎麦と高級居酒屋を兼ねた「稲田屋」。鳥取の食材と日本酒、それに蕎麦をコンセプトにした店で、天ぷらもお出ししていました。天ぷらを本格的に揚げるようになったのは、この4年間です。食材と日本酒を組み合わせて考える習慣も、ここで身についたものです。
27歳ごろからは株式会社第一興商の飲食部門へ移り、調理に加えて店舗の管理も担当しました。作る側だけでなく、店を回す側の仕事を覚えた時期です。ここに15年ほど勤め、42歳で退職して独立しました。
- 2001年(19歳) 調理師専門学校を卒業。東京・向島の日本料理店で約4年間修業
- 2005年ごろ(23歳) 都内の蕎麦・高級居酒屋「稲田屋」で約4年間。天ぷらと日本酒に本格的に取り組む
- 2009年ごろ(27歳) 株式会社第一興商の飲食部門へ。調理および店舗管理を担当
- 2025年(42歳) 独立し、川崎市多摩区・読売ランド前に「天ぷらと鎌倉野菜 みやび」を開店
天ぷらは、泡と音で見極めています
天ぷらは単純な料理に見えて、判断するところがいくつもあります。私が気をつけているのは、大きく三つです。
衣は、混ぜすぎない。しっかり混ぜてしまうと粘りが出て、重い衣になります。サクサクの食感を残したいので、粉が少し残るくらいで止めます。
油の温度は、素材ごとに変える。野菜であれば160〜165度あたりが目安です。ただ温度計は使いません。火加減を素材に合わせて動かしていくやり方です。
揚げ上がりは、泡と音で見る。鍋に入れた直後は泡が大きく、音も激しい。これは素材の水分がまだ多く残っている状態で、中まで火が通っていません。揚がってくると泡が小さくなり、音も落ち着いてきます。水分が抜けて、代わりに油が入ったサインです。ここを逃さずに引き上げます。
理屈としては水分と油の入れ替わりですが、頭で計算しているわけではありません。25年やってきて、体に染みついた感覚で判断しています。
鎌倉野菜を、店の柱に
鎌倉に特別な縁があったわけではありません。料理人として、単純に一目惚れしたのがきっかけです。
黒い大根、紫の大根。人参にしてもオレンジ色だけではありません。「こういう食材を使ってみたい」「オレンジ以外の人参もあるんだと、目で見て楽しんでもらいたい」。そう思って、鎌倉野菜を店の柱に据えました。ここでしか食べられないものを出したい、という気持ちもあります。
野菜は週に一度、鎌倉の農協連即売所まで自分で買いに行きます。往復で3時間ほどかかりますので、定休日に行くことが多いですね。
神奈川の地酒から、はじまりました
お酒は当初、「神奈川の食材に、神奈川の地酒を」というコンセプトで揃えていました。丹沢山、残草蓬莱、箱根山。いずれも県内の蔵のお酒です。
そのうち日本酒好きの常連のお客様から「こういうのはないの」と声をいただくことが増えまして、面白そうな銘柄はポイントで全国から仕入れるようになりました。天ぷらと日本酒は、やはり相性がいい。揚げたてを一杯とともに召し上がっていただく、その非日常を楽しんでいただきたいと思っています。
川崎で、店を持ちたかった
私は川崎市中原区の出身です。独立するなら川崎で、という気持ちがあって、1年ほどかけて物件を探しました。家賃と条件が折り合ったのが、この読売ランド前です。
人情のある、昔ながらの街だと思います。ご高齢の方が多く、私と同世代の子を持つ世代のお客様から気にかけていただくことも多い。「ここでやっていこう」「また頑張ろう」と思わせてもらっています。
お客様に対しては、先回りを心がけています。メニューを開いていらっしゃるのは注文を検討されているサイン、閉じられたのは決まったサイン。暑い日はおしぼりを、水は頼まれる前に。そうした一つひとつで、少しでも非日常を感じていただけたらと思っています。
ネットでのご予約は24時間承っております。4名様までは、空席を確認してその場でご予約が完了します。
ランチ 11:30-15:00(L.O. 14:30)/ ディナー 17:00-23:00(L.O. 22:30)/ 月曜・火曜定休